表題番号:2023Q-006 日付:2024/04/03
研究課題ラグジュアリーブランドのものづくりブランド化の過程と我が国地場・伝統企業への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 大学院経営管理研究科 教授 長沢 伸也
研究成果概要
1.研究の目的
本研究の目的は以下の通りである。
1)欧州の地場・伝統企業であった「ものづくり企業」が世界的なラグジュアリーブランドに飛躍したのは、単なる最終製品だけをブランド化したのではなく、職人、機械装置・工房、原材料、製作方法やノウハウといった製作過程も含めてものづくり自体をブランド化したとの観点からその戦略と過程を解明する。
2)さらに、その戦略と過程を我が国の地場・伝統企業に適用して、復活・再生するだけでなくジャパンブランドとして世界に飛躍しラグジュアリーブランド化する条件や道筋、および具体的な手段や方法論を構築・提示すること
2.研究の方法
本研究では、単なる最終製品だけのブランド化ではなく、製作過程も含めたものづくりのブランド化の理論的体系化と応用について、具体的に以下のように明らかにする。
1)鞄や酒類、時計など比較可能な日欧企業の比較研究を積み重ね、成功要因としての「ものづくりのブランド化」を明らかにし、さらにこれらを収斂させて一般化することにより、理論的体系化を図る。我が国の地場・伝統企業向けにアレンジした「ものづくりのブランド化」のための戦略と過程を帰納的に提示する。
2)提示される「ものづくりのブランド化」に基づき個々の地場・伝統企業固有のブランド価値を創造する条件を検討し、これが鞄や酒類、時計等といった製品の種類を超えて全ての地場・伝統企業に普遍性があり適用可能であることを明らかにする。
3)我が国の地場・伝統企業向けに職人、機械設備・工房、原材料、製作方法やノウハウといった製作過程の要素に従いアレンジした「ものづくりのブランド化」の戦略と過程により、衰退しつつある我が国の地場・伝統企業が復活・再生するだけでなくラグジュアリーブランド化することが可能であることと、その規範的戦略を提示する。
3.研究成果
 欧州ラグジュアリーブランドの「ものづくりブランド化」の過程を解明し、これを我が国の地場・伝統企業へ応用することを目指した。
 ブランド戦略については、欧州ラグジュアリーブランドがブランド化において、歴史、土地、人物、技術をブランド要素化(経営資源)としていると分析した。また、1906 年創設の万年筆ブランドながら1997 年より展開している時計事業について、歴史、土地、人物、技術をブランド要素化(経営資源)としている事例を分析した。
 合わせて、感性工学を活用した「感性に訴えるものづくり」を取り上げ、理論構築と事例による検証を行った。
 以上の研究を行い、書籍5 冊、学術論文6 編、学会発表14 件等を成果発表した。