表題番号:2023Q-005
日付:2025/09/15
研究課題脳地図形成における大脳皮質ニューロンの移動制御機構の解明
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 花嶋 かりな |
- 研究成果概要
本研究は、大脳皮質を構成する神経細胞の特異的な移動パターンを制御するメカニズムを明らかにすることを目的とした。本課題では(1)新規分子群の機能解析
高速移動や停止といった新生ニューロンの移動様式を規定する新規分子を同定し、子宮内電気穿孔法を用いて大脳皮質発生期における分子機能を解析し、領野様の区画形成への影響を評価した。(2) In vitro培養系による領野特異的分化解析により、培養系において幹細胞由来ニューロンを領野特異的条件下で誘導し、転写因子群の発現動態を解析した。(3)細胞間コミュニケーション操作実験Notchやギャップ結合分子の阻害実験を行い、隣接細胞間の相互作用が新生ニューロンの移動様式に及ぼす影響を解析した。その結果、特定の細胞シグナルが少数細胞群による空間的秩序の確立に必須であることが示された。本研究により、大脳皮質の秩序だった構築には放射状移動細胞のみならず、ユニークな細胞移動を示す機構が役割を果たすことが明らかとなった。この成果は脳形成異常の分子病態の理解につながることが期待される。