表題番号:2023Q-001 日付:2024/02/08
研究課題パーソナリティ特性の多面的な適応過程の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 小塩 真司
研究成果概要
本研究課題では,空間,時間,属性という複数の調整要因を考慮に入れ,パーソナリティの適応過程の詳細を明らかにし,応用可能性を高めることを目的とした。これまでに公表した時間横断的メタ分析のデータセットに関しては,継続して収集を行った。これらのデータに関しては,今後順次公表に向けて分析を行う予定である。また,日本心理学会において公募シンポジウム「地域とパーソナリティ特性—そこから何がわかるのか—」を開催した。各地域で集積が観察され,ある地域において他の地域とは異なる独自の特徴を示すパーソナリティの様相は何と関連し,どのような意味を持つのであろうか。大規模な調査データを背景として,一国内におけるパーソナリティ特性の地域差に注目する研究が注目を集めているが,パーソナリティ特性の地域差がどのような意味をもたらすのかについて議論を行うことで,知見の集約を試みた。特に,人間の全体的なパーソナリティ特性を5つの次元で表現する,Big Fiveパーソナリティについて,日本国内の地域差と社会的指標との関連,個々が居住する環境との関連,過去の居住地の特徴が現在に及ぼす影響という3つの観点から,地域とパーソナリティとの関連について検討し,議論を行った。議論を通じて,今後の研究の方向性が明確になり,パーソナリティと地域との関わりについての共通見解を得ることへとつながる可能性が示された。