表題番号:2023E-005 日付:2024/04/04
研究課題幕末期の藩境界及び大正期国勢調査の地理情報データ化による、藩政のレガシーの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 講師 福元 真
研究成果概要

大正時代の市町村境界を基にした幕末期の藩領の地理情報データ化については68カ国中64カ国分、288藩中276藩が完成し、このデータを基にした資料をロサンゼルスで開催された20238月のAmerican Political Science Association(米国政治学会)にて発表し、20247月のEuropean Political Science Association(欧州政治学会)でも発表予定のほか、これらを基にした研究計画を基に河川財団などから新たな外部助成金を獲得した。地理情報データには班ごとの属性情報が記入され検索可能であり、ワンクリックで譜代大名領、飛び地、旗本領、複数藩の相給地などの日本地図が作成可能になっているほか、現代の地図との連結も簡単である。一方で、越後国(新潟県)・上野国(群馬県)は特に明治期以降の市町村合併があまりにも複雑だったため、元になる江戸時代の村落別データと大正時代の市町村地理データの連結に想定以上の時間がかかってしまい、この二国についてそれぞれ過半の郡は終えたものの全体を一年の期限以内の完了できなかった。これらに加え公家領などが錯綜する山城・河内の両国も大半が終わったものの一部を残しており、データ自体が未完のため成果物の最終的な出版などは間に合わなかった。また、当初の計画通りリサーチ・アシスタントを雇用したものの地理情報データを用いた作業が複雑すぎたため結局は自分一人でやることとなり、残念ながら計画より大幅なペースダウンを強いられてしまった。当初予定のタイムラインは江戸時代の藩の分かれ方が比較的単純な肥前国(長崎県・佐賀県)と複雑な磐城国(福島県)を参考にしていたが、明治期以降の市町村合併に伴う複雑さの差異については考慮していなかったため、作業の遅れにつながることになった。当初の締め切り以内に成果物のアウトプットができなかったことは大いに反省するところであるが、九州・中国・四国・中部・東海・東北は地図データが出来上がっているため、画像データを基にした広報であればすぐに可能である。