表題番号:2023C-702 日付:2025/09/15
研究課題台頭国の不満のトリガーに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 大学院アジア太平洋研究科 教授 植木 千可子
研究成果概要

本研究は、台頭国が既存の国際秩序に対して抱く不満の源泉を明らかにすることを目指した。とくに、不満(dissatisfaction)の形成にナショナリズムが果たす役割を中心に考察する。先行研究では、覇権戦争の重要な原因に台頭国の不満があるとされてきた。不満を抱く台頭国がパワーを増大する時に覇権戦争の蓋然性が高くなると考えられている。しかし、不満が何によって生起するのかについては定説がない。先行研究は現状維持国(覇権国)の視点から台頭国を分析したものが多く、台頭国の「タイプ」について論じるものが多い。しかし、覇権国と台頭国の間の相互作用に着目した系統だった研究は少ない。本研究は、覇権戦争の原因に関する研究と、ナショナリズムと戦争の研究に貢献することが期待される。米中両国に関する事例では、中国の相対的な力の変化に応じて、米国の中国に対する要求・期待と中国の自国への対応の期待に齟齬があることが示唆された。

研究成果は、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、ボストン大学、ダートマス大学、北京大学などにおける学会、研究会等において発表した。