表題番号:2023C-690 日付:2024/02/05
研究課題身体活動と生活習慣が生活習慣病罹患に及ぼす交互作用を解明するための疫学研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 澤田 亨
研究成果概要

目的:身体活動を積極的に行う人とそうでない人の特徴については十分に明らかになっていない。そこで、本研究は、生活習慣病予防に寄与する身体活動を積極的に行う人の背景を探索する。

方法:社会調査会社から3,105人(20~80歳)の回答結果を匿名で受け取って解析した。調査項目は、研究参加者の人口統計学および身体的特性に加えて、学童期の短距離および長距離の同級生と比較した徒競走の相対的なスピード(5群)と調査時点の糖尿病の有無について調査した。足の速さと糖尿病の関係を交絡因子を調整したうえで評価するために多変量ロジスティック回帰モデルを使用し、目的変数に糖尿病の有無、説明変数に短/長距離の足の速さを投入し、多変量調整オッズ比と95%信頼区間を算出した。

結果:糖尿病有病者数は228人であった。短距離走が「かなり遅かった群」を基準にした場合の、「どちらかというと遅かった群」、「平均的な群」、「どちらかというと速かった群」、「速かった群」の性別・年齢・BMI・喫煙習慣・飲酒習慣調整オッズ比(95%信頼区間)は、0.87 (0.55―1.37), 0.73 (0.47―1.13), 0.62 (0.39―0.99), 0.51 (0.30―0.88) (P trend = 0.004)であった。また、長距離走は0.68 (0.44―1.04), 0.63 (0.42―0.94), 0.55 (0.34―0.88), 0.29 (0.13―0.63) (P trend < 0.001)であった。

結論:学童期に短距離走が速かった人は成人期における糖尿病有病率が低い傾向にあった。また、長距離走は、短距離走より明確な負の量反応関係を観察した。