表題番号:2023C-677 日付:2024/04/03
研究課題中近世真宗寺院の宝物をめぐる文化史
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 黒田 智
研究成果概要

 吉崎御坊は、15世紀後半に本願寺蓮如が布教の一大拠点として越前北潟湖畔(現福井県あわら市)に建立した寺坊で、かつて多くの真宗門徒が集い、宿坊が立ち並ぶ寺内町を形成していた。この地に残る願慶寺に伝えられた手つかずの文化財や史料群は、吉崎御坊の中世・近世の姿を伝える貴重な手がかりとなる。本研究では、あわら市郷土歴史資料館との協同で、はじめて願慶寺史料の悉皆調査を実施し、700点余ほどの古文書・絵図絵画類を調査・撮影し、およその目録を作成した。次年度以降にむけて、①補助調査等により史料目録を整理・精査した上で公表し、②あわら市郷土歴史資料館にて特別展と講演等を開催、③「嫁脅し肉付きの面」や18世紀の日記類の考察を進めて、学術論文を執筆する予定である。なお、願慶寺調査のほかに、同あわら市神宮寺城跡の中世石造物調査、群馬県中之条町赤岩地区の古文書調査に着手した。ひきつづき地域史料の調査と活用を押しすすめたい。