表題番号:2023C-671 日付:2024/02/06
研究課題誘電体光プローブによるナノ微粒子制御の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 坪川 信
研究成果概要
光ピンセットと呼ばれるナノ粒子捕捉、移送は、レーザ 光がもたらす光力(散乱力と勾配力)に基づいているが、通常、勾配力は散乱力に比べて小さいため、安定した粒子捕捉や移送には、散乱力と均衡しうる勾配力が必要である。そのためにはナノサイズ空間内に光強度の急峻な変化を作り出し、かつその強度分布(ホットスポット)を空間移動することが要求される。従来、多くの事例ではプラズモニック導波路やフォトニック結晶構造を埋め込んだ複雑な光導波路が用いられてきたが、熱問題や製造困難など問題を有し、安定した捕捉や長距離粒子移送が実現されていなかった。
我々は、全誘電体構造の高屈折率コントラストを持つボウタイコアマイクロ光ファイバが、ファイバ中心のナノサイズ領域に高い電界密度を発生することに着目し、微粒子がその領域に捕捉可能なことを示した。さらにレーザ波長もしくは入射角条件を変えることにより、長手方向に現れるホットスポット位置をシフトする手法を提案し、100 μmを超える双方向微粒子移送が実現できることを示した。また、従来、捕捉や移送が困難であった周囲溶液より低い低屈折率粒子に対しても、移送を可能にする階段型光導波路構造を提案し、粒子屈折率によるソーティングの可能性を提示した。これら成果は学術誌、会議において発表された。