表題番号:2023C-669 日付:2024/04/04
研究課題粘着テープの剥がし跡のパターン形成とその数理構造
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院先進理工学研究科 講師 多賀 圭理
(連携研究者) 早稲田大学 教授 山崎義弘
研究成果概要
粘着テープをはがす際,そのはがし跡にフラクタル的な興味深いパターンが表れることが知られている.また,剥がす速度を変化させることで,剥がし跡の性質が変化するという相転移的な性質が見られることも知られている.本研究では,そのパターン形成のメカニズムや性質を数理モデルを構築し,解析することで探索することを目的としている.
本年度は[Taga and Yamazaki 2023]において提案したテープはがしモデルの数理的性質についての研究を行い下記の成果について国際学会IUTAM Symposiumのプロシーディング1本,statphysなどの国際研究会3回,国内研究会1回で発表した.

1. 物理的性質
数値シミュレーションを行い,数理モデルが実験結果における剥がし跡の形成や,剥がす速度に応じての剥がし跡の変化の仕方をよく再現することを確認した.

2.数理的性質
分岐解析を行い,提案した数理モデルの局所的なダイナミクスの性質の解析を行った.また,数理シミュレーションの結果,モデルが示すパターンにベキ的な性質が表れることを確認し,その検討を行った.

3.先行モデルとの関連
テープの剥がし跡の数理モデルは先行的にもいくつか提案されている.本研究で提案し,解析している数理モデルは先行研究とは異なる物理的メカニズムを有しているが,適当な変換を行うことで,ほかの数理モデルと見た形式を有することを指摘した.