表題番号:2023C-653 日付:2024/02/06
研究課題マルチフィジックスアンテナ設計技術
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 川西 哲也
研究成果概要

無線通信においてアンテナは必須のデバイスであり、その特性評価は回線設計のみならず、他のアプリケーションとの共存のためにも重要である。これまで無線通信に用いられてきたマイクロ波帯においてアンテナは、定常的に設置・固定されたものとして扱い、純粋な電磁気学的特性のみに着目した評価で十分であった。これは、マイクロ波帯の波長は長く(たとえば5Gで用いられている6 GHz程度であってもその波長は5 cm)、アンテナの力学的偏位が電磁気学的特性に与える影響が無視できたからである。ところが、Beyond5G/6G時代での活用が期待される100 GHz以上のテラヘルツ波帯は、その波長がマイクロ波帯と比べて一桁以上短くなることから必然的に指向性が高まり、その狭いビーム広がり角に対してアンテナの力学的偏位量が無視できない領域となる。これまで我々の研究グループでは、風雨がテラヘルツ通信にあたえる影響について報告してきたが、本研究ではマルチフィジックス問題としての基礎検討を進めた。降雨は電波の散乱や吸収を引き起こす。風はアンテナの振動を発生させる。これに加えて、降雪や温度変化の影響も考慮に入れる必要がある。このような総合的なマルチフィジックスの重要性をアンテナのみならず、光ファイバ通信へも適用し、共通したコンセプトで解析を進めるスキームを構築した。これをもとに、日独の国際共同研究の体制を整えた。