表題番号:2023C-650 日付:2024/04/03
研究課題実量子計算機に向けた量子アルゴリズム開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 白井 達彦
研究成果概要
量子アニーリング計算機やゲート型量子計算機といった量子計算機を現実世界の組合せ最適化問題に活用するため,組合せ最適化問題のもつ制約を効率的に取り扱うための手法を開発した.具体的には,量子計算機から出力される解を制約を満たす解に変換する制約適合処理手法を構築し,変分法を用いた量子アルゴリズムと組み合わせることで,量子計算機の精度を改善する手法を開発した.この成果をStatPhys28やAQC2023の国際会議で発表し,IEEE Transactions on Quantum Engineeringに出版した.またJSTと共同でプレスリリースを行い,国内外に広く発信した.現状または近未来的に実現する量子計算機は外界から受けるノイズによって生じるエラーを訂正することができない.そうしたノイズによる普遍的な緩和現象を,非平衡統計力学の知見を用いて明らかにした.具体的には,時間と共に相関関数の緩和レートが増大するという現象を発見し,その起源が情報スクランブリングによることを明らかにした.この成果を論文としてまとめ,arXiv(arXiv:2309.03485)に公表した(投稿中).また,前年度までに公表した,単スピンフリップを動作原理とするイジング計算機においてマルチスピンフリップと等価な状態遷移を可能にするマージ手法について研究を行った.具体的には,マージ手法を動作原理とするイジング計算機ハードウェアを実現するための計算機アーキテクチャについての研究を進め,論文としてIEEE Accessに出版した.