表題番号:2023C-631 日付:2024/03/29
研究課題反実仮想と保険需要―買うのが当たり前な保険と買わないのが当たり前の保険―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 尾崎 祐介
研究成果概要

保険需要に関して良く知られた二つのパズル(理論と実際の乖離)がある。一つは火災保険のような典型的な損失に対する保険の需要が過大になること、もう一つは地震保険のようなカタストロフィックな損失に対する保険の需要が過小になることである。本研究課題では、これらの背景にあるメカニズムについて新しい理論的なモデルを提示したうえで、その理論モデルに基づいた経済実験を実施して、理論で得られた結果について経済実験を通じて検証することである。本研究では、後悔理論を基づいて無保険、完全保険を後悔の基準に設定して、それぞれの場合に期待効用理論と比較して、保険需要が過大になるか、過小になるのかを理論的に検討した。その結果、無保険を基準とした場合は過小、完全保険を基準とした場合は過大になることが確かめられた。次に、この理論に基づいて保険需要の経済実験を実施した。具体的には、無保険が基準となるグループと完全保険が基準となる二つのグループを作り、それぞれのグループ間での保険需要がどのようになるのかを経済実験により確かめた。経済実験は2月下旬に関西大学経済実験センターで実施した。現在、得られたデータについての統計的解析を行っている。また、今後、追加の経済実験、あるいは、本経済実験のバリエーションを実施していく予定であり、それらをまとめた結果を論文化し、最終的には国際学術誌の掲載を目指す。