表題番号:2023C-627 日付:2024/04/05
研究課題大学生によるタブレット端末による協調学習の功罪の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 三尾 忠男
研究成果概要
我が国の大学授業へアクティブ・ラーニングが推奨され、専門職大学院等では授業への導入が求められて、各大学・各講義で実施されている。が、単に学生が活動するという程度に終始し、授業目標への直接的効果が実感できることなく、運営されている。2020年の感染症拡大による大学授業のオンライン化により、オンライン下でのアクティブ・ラーニングの実施の困難さと必要性が強調された。一方、学生がノートPC,タブレット端末を所持し、オンライン接続環境が整ったことにより、オンラインでの協調学習を実験室レベルから通常の授業レベルでも実践できる状況に至っている。その中で、学習者間での協調学習をオンライン下で実施するツールも、アプリを選択でき学生も無料・安価に利用できることで、2022年後半から、通常の対面授業の一部オンラインやオンライン授業において実施が拡大している。そこで、協調学習専用アプリ(Metamoji社MetamojiClassroom)を用いて、大学講義においての協調学習の体験を試み、体験学生から、期待される効果と、直接対面での協調学習と比較してマイナスになる効果を予想する演習を実施した。実施は2クラス1回ずつで8名、6名と少人数であった。中規模・小規模での協調学習はグループ活動という形態で教室で実施する場合は、対面の方がメンバー間の表情、作業手順を逐次、確認できるという利点から学習者・授業者の不安がかなり少ない。一方、タブレット端末の場合、10インチ程度の作業平面空間での共有のみとなり、学習者自身の進捗状況と手順の共有が無く、個別学習に近い感覚になっていることが観察された。2023年度第3期からの着手のため、以上の進捗状況となっている。なお、ここまでの成果は、GIGAスクールによる学校でのタブレット等での学習体験が普通になって入学してくる大学生にとってどのような成果、功罪があるかについても調査を行い、比較することでその有効性を検討することにしたい。