表題番号:2023C-618 日付:2024/04/08
研究課題テストステロンと男性の配偶行動の関連にテロメアが与える影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 助手 瀧川 諒子
研究成果概要
本研究の目的は,日本人男性を対象とし,テストステロンレベルと配偶行動の関連が染色体末端(テロメア)の長さによって異なることを明らかにすることであった。2023年度はパイロットスタディとしてアメリカ人男性を対象とした既存データの二次分析を行った。その結果,高いテストステロンレベルは,テロメアが短い男性においてのみ配偶行動(過去1ヵ月間における避妊具を使用せずに性交を行った回数および性交パートナー数)の増加と関連するが,対照的にテロメアが長い男性では,過去1ヵ月における避妊具を使用せずに性交を行った回数の増加とは関連せず,性交パートナー数においては減少と関連することを発見した。
テストステロンは男性が異性と配偶する行動と,父親として子を養育する行動の両方に必要なホルモンである。そして男性が行動を配偶と養育のどちらに偏らせるかを決める繁殖戦略は,各々の寿命に応じる。申請者は本研究で,寿命の指標であるテロメア長に着目した。本研究の成果は,男性が父親としての行動を増減させる要因の解明を促すため,親子の機能の維持・向上に資することが期待される。