表題番号:2023C-605 日付:2024/04/06
研究課題日独間テレビ会議における異言語間コミュニケーションとインタラクション能力の養成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 星井 牧子
研究成果概要

インターネットの利用による空間を超えた交流は、テレコラボレーションあるいはヴァーチャル・エクスチェンジとして外国語教育研究において広く議論され、さまざまな言語間の交流プロジェクトが実施されている。テレビ会議を利用したオンライン交流は、異言語間コミュニケーションのひとつのタイプと捉えることができると同時に、教室外の世界を教室内に取り込み、授業を教室外に広げることで自らの発話意図に基づくコミュニケーションが必要となる「出会いのプロジェクト」のひとつと位置づけることも可能である。本研究では、授業内にテレビ会議を用いたオンライン交流を体系的に組み込むことで、日本国内の教育機関におけるドイツ語学習の場にどのような可能性が生まれるかについて、異言語間コミュニケーションとインタラクション能力の養成の観点から考察するためのデータ収集を行った。

本研究でデータ収集の対象としたのは、ウィーン大学ドイツ語教育研究科と共同で実施したテレビ会議、約60分x計7回。ウィーン側と早稲田側参加者はそれぞれ教室に集まり、教室間の遠隔交流として実施した。交流場面を録画し、データとした他、参加者に対してアンケートを実施した。アンケートの結果からは、ドイツ語の聞き取りや相手からの問いかけに対して答える力、またグループ内の参加者間の助け合いなど、「インタラクション能力」として重要な要素が挙げられており、教室間の遠隔交流について、研究代表者がこれまでに行ってきた分析をサポートする結果が見られた。

  今後は、 今回の録画データを元に交流場面におけるインタラクションの分析を行い、ドイツ語習得との関係をさらに検討していく。また今回実施した遠隔交流では参加者の言語的背景が多様であったことから、異言語間コミュニケーション場面のあり方と分析枠組みについてもさらに考察を深めたい。