表題番号:2023C-602 日付:2024/03/31
研究課題占領期の日本共産党と日米関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 講師 藤田 吾郎
研究成果概要
 本研究は、占領期の日本共産党が初期の平和革命路線から武力革命路線に革命路線を転換するにいたる過程を、同党指導部の日米関係認識との関連に焦点をあてて分析することを目的とする。本研究は、申請者の博士論文(「日米安保体制の成立と戦後日本の治安問題――間接侵略への対応とその帰結、1945-1952年」早稲田大学、2022年)の内容を基礎としつつ、日本共産党の動向についてより詳細な分析を加えることで、研究をより深化させることをめざす。
 2023年10月から2024年3月にかけて実施した本特定課題研究プロジェクトでは、上記の研究課題に応答するために、占領期の日本共産党に関する史資料や、日本の治安および日本共産党に対する日米両国政府の認識・政策に関する史資料の収集と分析に努めた。日本国内では、国立国会図書館や早稲田大学中央図書館をはじめとする図書館・史料館において、日本共産党の機関誌やマイクロフィルム化された米国国務省文書などの史資料を閲覧するとともに、研究課題に関する二次文献を購入し分析を進めた。また、2024年3月には米国を訪問し、米国国立公文書館(メリーランド州カレッジパーク)において米国駐日大使館文書(RG 84)や陸軍参謀本部文書(RG 319)をはじめとする一次史料を、米国議会図書館(ワシントン D.C.)においてW. アヴェレル・ハリマン文書を収集した。とくに、陸軍参謀本部文書に含まれている、徳田球一、野坂参三、志賀義雄をはじめとする日本共産党指導部の個人ファイルを広範囲に収集できたことは、占領期における日本共産党指導部の日米関係認識を詳細に検討するためのきわめて重要な基礎作業となった。
 申請者は現在、これまでに収集した史資料の分析を進めるとともに、本研究の成果を学会報告ならびに論文投稿のかたちでアウトプットするための準備を進めている。これらの成果発表をふまえつつ、最終的には単著の刊行につなげたい。