表題番号:2023C-598 日付:2024/04/03
研究課題データ科学関連科目の受講が学生のキャリア形成と学生生活に及ぼす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) データ科学センター 講師 渡邉 文枝
(連携研究者) データ科学センター 職員 田尻裕
(連携研究者) データ科学センター 講師(任期付) 寅屋敷哲也
(連携研究者) データ科学センター 准教授 堀井俊佑
(連携研究者) データ科学センター 教授 野村亮
研究成果概要
 近年、データ科学の重要性が高まるとともに、さまざまな分野でデータ科学を活用できる人材が求められている。日本政府においてもAI戦略の中で、データ科学を活用できる人材を育成することを目標に掲げている。また、データサイエンス学部を有する大学やデータ科学に関する授業やセミナーを提供する大学も増えてきている。一方で、このような取り組みと学生のキャリア形成や学生生活との関連については十分には明らかにされていない。そこで本研究では、データ科学関連科目の受講が学生のキャリア形成と学生生活にどのような影響を及ぼしているのかについて明らかにすることを目的とした。本稿では本研究の基礎的研究として、データ科学関連科目の受講に対する明確な目標を提示するために設置されたデータ科学認定制度の導入効果と課題に関する調査結果について報告する。
 本研究では、データ科学認定制度の導入効果と課題について検討するため、本学の学部生と修士課程の大学院生を対象にオンラインによる質問紙調査を行った。調査期間は2023年11月〜12月であった。回答者数は1,681人であった。調査項目は学年のほか、認定取得者には本認定制度を活用した目的・理由に関する2項目、就職活動における認定証明書に関する1項目、認定未取得者にはデータ科学の知識やスキルに関する2項目、本認定制度に関する1項目についての回答を求めた。
 調査の結果、活用目的・理由に対しては約7割が達成できたと回答していたことから、本認定制度は学習者のモチベーションの維持に寄与している可能性が示唆された。また認定証明書が役に立ったと回答した学生はほとんどみられなかったことから、今後は学生が就職活動で活用しやすくするための支援や企業に対する認定証明書の価値や評価を高めるための方法を検討していく必要性が示唆された。加えて、データ科学に関する知識やスキルを身につけたいと思う学生は多い一方で、数学的な知識に不安を感じている学生が半数以上みられた。今後は本認定制度の周知徹底を図るとともに、数学的知識に不安を感じている学生へのさらなる支援を行っていく必要性が示唆された。