表題番号:2023C-592 日付:2024/04/04
研究課題中世インド議論学における議論プロセス・資質・行為に関する基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等研究所 講師 須藤 龍真
研究成果概要
本研究課題では、議論従事者の資質・行為や議論構築の方法論に関する記述がみられるサンスクリット文献の分析を通して、中世インド議論学における議論構築の方法論を明らかにするため、その基礎研究を充実させることを目指した。そのため、ニヤーヤ学派やヴェーダーンタ学派等のインド哲学諸派の文献において提示される典型的な議論プロセスの比較分析を行った。とりわけ、議論において用いられる主たる認識手段に関するマドヴァ派とニヤーヤ学派との間の相違に着目し、両者の認識論的枠組みが実践的な議論の構築方法に影響を与えている可能性を指摘した。その成果は国際学会(4th WORLD CONGRESS ON LOGIC AND RELIGION)にて報告した。さらに、基礎研究に必要不可欠な一次資料の蒐集のため、インド、タミルナードゥ州の図書館等において、ニヤーヤ議論学文献を中心としたサンスクリット貝葉・紙写本の調査・発注・撮影を行った。今回の訪問を通して新たに獲得した研究ネットワークについても、報告者の今後の研究の基礎として機能しうるものであると確信している。なお、本研究課題は早稲田大学高等研究所における研究課題(2023-2025年度)と関連する。