表題番号:2023C-574 日付:2024/04/06
研究課題教育利用を目的とした対話アプリケーションの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) グローバルエデュケーションセンター 講師 後藤 孔
研究成果概要
本研究では,パーソナルコンピュータで動作可能な大規模言語モデル(LLM)を核とする対話アプリケーションの開発を行った.開発した対話アプリケーションは,リモートコンピュータで動作するものとは異なり,ユーザの手元にあるローカルコンピュータで動作するため,個人情報の漏洩やリモートコンピュータの管理者による一方的なアクセス制限およびコンテンツの変更を防ぐことができる.対話アプリケーションは,ユーザによって質問文が入力されると回答文およびその関連データを出力するLLMと,ユーザとLLM間の対話経路を提供するインターフェースで構成されている.LLMとしては,研究に利用可能な公開プログラムであるLlama 2などを活用し,インターフェースとしては,Ollama(LLMアプリケーションの開発に有用なツール)を併用しつつ,シェルを用いたキャラクタユーザインターフェース(文字入力で操作する画面)のプログラムとPythonを用いたグラフィカルユーザインターフェース(ボタンやアイコンをクリックして操作する画面)のプログラムを実装した.対話アプリケーションの動作実験および評価として,数学の問題や文法的に誤りのある英文を入力したところ,簡単な問題であれば,対話アプリケーションはユーザに対して数学の問題に対する解法や英文の修正箇所および修正に至る根拠を解説できることが確認された.しかし,質問内容によっては回答が正確でない場合も確認された.これらの結果からは,パーソナルコンピュータで動作する対話アプリケーションは,指導者に対して教務負担の軽減,学習者に対しては学習機会の促進を行える可能性が示唆された.今後の課題としては,LLMの独自開発や既存モデルの改善またはチューニングを行うことにより,本研究で開発している対話アプリケーションの回答精度や処理速度を向上させ,対応できる問題の範囲を広げることが挙げられる.