表題番号:2023C-540 日付:2024/04/02
研究課題明治から昭和初期の日本における近代スポーツとジェンダリング―バレーボールを事例に
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 川島 浩平
研究成果概要

2023528日に開催された2023年度北米スポーツ史学会(NASSH)ワシントンDC年次大会にて、「Modern Sports and Gendering in Japan in the Meiji, Taisho and Early Showa Eras, 1900-1930s」と題して発表した。本発表では、研究史における間隙を埋めるべく、当時のスポーツ事情に関する一次資料を渉猟することを通して、ジェンダリングの動態を歴史学の立場から解明することを目的に設定し、主として、近代日本スポーツの歴史をジェンダリングの視点から読み直すために必要な方法を論じながら説明した。特に各競技を、競技人口や規則などの属性、体育、部活、YMCA、メディアにおける視覚的な表象と言語的な言説によって捉える視点を強調した。

202311月に『体育の科学』11月号にて、特集「日本流のスポーツ観はどう形成されてきたか」を分担。「日本におけるスポーツのジェンダリング」と題し、1.明治・大正期の3球技とジェンダリング、2.戦間期へ、3.戦後におけるジェンダリングの退潮という3つの節を使って、通史的観点からジェンダリングを概観し、スポーツ競技種目に注目するなら、150年を超える日本の近代スポーツ経験は、ジェンダー化からジェンダレス化へ、つまり脱ジェンダリングの軌跡をくっきりと浮かび上がらせる、と結論づけた。

20243月に『スポーツ人類学研究」第25号で、前年度のシンポジウムの成果を特集として発表。「スポーツ人類学と「デベロプメント(開発・成長)」」と題する論考で、ジェンダリング研究の枠組を構築するための考察を展開し、英語「デベロプメント」が、国際機関、中央・地方政府、諸々の組織・任意団体等が取り組むプロジェクトの目的としての「開発」と、より個人的な変化としての「成長」の両者を包摂する多義的な概念であることを認識し、学問分野、方法論、視点、定義におけるあらゆる多様性に配慮しながら、総合的かつ包括的な視点から「スポーツ」と「デベロプメント」を考えることができる枠組を構築しなければならない、と結論づけた。