表題番号:2023C-538 日付:2024/02/02
研究課題選手一人一人が輝けるチームづくりとそれを実現する指導者の在り方
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 深見 英一郎
研究成果概要
2023年春に開催された第5回WBCでは日本が14年ぶりの世界一に輝いた。MLBで活躍する超一流の選手が参画し史上最強の日本代表チームが結成されたことが大きな話題となった。しかし、最も印象的だったのは代表チームのチームワークの良さであり、選手たち一人一人がのびのび楽しんでプレーする姿であった。野球に限らず、これまでオリンピックなどの国際大会において、日本人は「日の丸を背負って」「絶対に負けられない」といった重圧から、本来の実力を発揮できなかったり大事な場面で凡ミスを犯したりする場面を何度も目にしてきた。なぜ、選手たちは大舞台において大きなプレッシャーを感じながらも、最高のパフォーマンスを発揮することができたのか。それは指導者と選手が世界一という明確な目標に向かって各自の強みを最大限発揮し、良好なチームワークが形成されたからであると考えられる。ここでは、指導者や選手がどのようなリーダーシップを発揮すればそのようなチームづくりにつながるのかを明らかにしようとした。
「選手一人一人が輝けるチームづくりとそれを実現する指導者の在り方」をテーマとして、その要因を検討した。方法は、第5回WBC日本代表監督が決定した2021年11月30日以降の新聞記事及びインターネットニュース記事から、チームづくり、チーム運営、指導者・選手のコメントを拾い集め、分析用データを作成しコーディングを行った。その結果、「選手一人一人が輝けるチーム」とは、①選手が自分の役割を認識して、チームの勝利に向けて最高のパフォーマンスを発揮する、②控えの選手は応援しつつも常に自身の準備を怠らない、③負けている時も勝利を信じてプレーや態度・行動でチームを鼓舞する、④指導者の強い意志と信念をもったリーダーシップとチーム全員のフォロワーシップである。