表題番号:2023C-537 日付:2024/03/27
研究課題対人インタラクション中の個体間脳波同期に着目した二重共感理論へのアプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 助手 栗原 勇人
研究成果概要

自閉スペクトラム症者(ASD者)が対人インタラクション(以下,インタラクション)を苦手としているのは,相手が定型発達者(TD者)のときであり,相手がASD者の場合はインタラクションが円滑に行える可能性が示唆されており、これを二重共感問題の理論と呼ぶ。本研究では、二重共感問題の理論が二者間における脳波の同期性から立証できるか検証を行った。過去の研究では相互の予測を伴うインタラクション中にお互いの脳波同期の程度が高くなることが示されている(Kurihara et al. 2022, Sci. Rep.)。これを踏まえ、相互予測を伴うdual-Ball Catch Task(野球におけるフライボールを参加者2人のどちらかがキャッチする心理実験課題)を作成した。12ペアを対象に、dual-Ball Catch課題中の脳波を2人同時に計測し、ASD傾向を測る尺度(Autism Quotient; AQ)を取得した。その結果、ボールを落とさず上手に課題を行えているペアで、高いアルファ(8-12Hz)の脳波同期がみられた。今後は取得したAQについても解析し、二重共感問題の理論について検証を行っている予定である。