表題番号:2023C-534 日付:2024/04/05
研究課題日英2言語の単語リストを用いた虚記憶の生成過程の検討_2
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 講師 川崎 弥生
研究成果概要

本年は日本語リストの意味的関連性の強さが虚記憶の生成に及ぼす影響を調べた。川崎・大久保(2019)は,リスト項目の意味的関連性の強さを操作したDRMパラダイム用の単語リストを作成し,意味的関連性の強さが虚記憶に及ぼす影響を調べた。リストの半分(12リスト)では各リストの最初の項目は強い連想値(50%以上)を持ち,残りの半分(12リスト)では各リストの最初の項目は中程度の連想値を持った。しかし,2つのリスト条件間でルアー語の虚再生率に有意な差は認められなかった。そこで本研究では,想起順序の影響を分析することにより,リスト項目によってどのようにルアー語の虚再生が誘発されるかを調べた。具体的には,ルアー語の虚再生が発生した場合にルアー語が何番目に思い出されるのかを2つの種類のリストで比較した。その結果,2つの条件間で思い出される順序に有意な差はみられなかった。それに加えて,この結果からMINERVA 2を用いて2種のリストについてそれぞれ12個のリストで1,000回のシミュレーションを行った。その結果,ルアー語が虚再生される率は中程度のリストよりも最初の項目の連想価が強いリストの方が有意に高いと予測された。また,ルアー語が虚再生される場合,中程度のリストよりも最初の項目の連想価が高いリストの方が早めに想起されることが予測された。今後はルアー語の虚再生を生み出す要因を検討することで,推定値と実際のデータとのギャップを埋めることを試みる。