表題番号:2023C-533 日付:2024/02/22
研究課題自己接触行動のストレス低減効果に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 関根 和生
(連携研究者) 早稲田大学人間科学研究科 大学院生 牧恒平
研究成果概要

本研究では,自己接触行動がストレスに及ぼす影響を調査した。自己接触行動とは,ストレスや緊張が高まった際に頻繁に行われる自分の身体の一部を触る行為のことを指す。先行研究によれば,ストレッサーとなる事象が生じる直前に自己接触を行うことで,ストレス上昇が抑制させることが明らかになっている。だが,ストレス体験中の自己接触行動の効果も明らかになっていない。そこで,本研究では,心理社会的ストレス課題前に自己接触を行う群,課題中に行う群,自己接触を行わない群の3群を設け,課題中の生理指標(唾液中コルチゾール、心拍)と心理指標(VAS)の相違を比較検討した。その結果,ストレス課題前に自己接触を行う群は,課題中に行った群よりも,コルチゾール値が有意に低かった。心拍数とVASの値には群間の差はみられなかった。これらの結果から,自己接触行動がストレス低下に直接的な効果をもたらすわけではないものの,特定の条件下ではストレス軽減に寄与する可能性があることが示唆された。今後の課題として,ストレス状況下での自発的な自己接触行動の効果や接触行動タイプの違いによる影響をさらに詳細に検討することが挙げられる。