表題番号:2023C-502 日付:2024/02/20
研究課題ノイズフィルタの導体レイアウトを対象とした深層学習に基づくパターン生成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 山崎 慎太郎
研究成果概要

ノイズフィルタの設計は、フィルタ回路の構成や回路素子の定数を定める回路設計と、基板サイズや回路素子の配置位置、回路素子を結ぶ導体パターンの形状を定めるレイアウト設計に大別できる。前者については盛んに研究が行われ一定の成熟を見ている一方で、後者については専ら設計者の勘と経験に基づいて試行錯誤的に行われている。しかしながら、レイアウト、特に導体レイアウト設計の良し悪しがノイズフィルタの性能に与える影響は大きく、設計者の試行錯誤を必要としない合理的な設計方法の確立が大きな課題となっている。レイアウトパターン設計では、感度情報に基づく数理最適化が有力なアプローチであると一般的に考えられているが、ノイズフィルタの導体レイアウトパターン最適設計問題においては、強い非線形性に起因する求解の困難さが明らかになってきた。本申請研究では、既知の導体レイアウトパターンを学習してそれらの特徴を継承しつつも異なる多様な導体レイアウトパターンを生成する深層生成モデルに着目し、これを利用した感度情報に依存しない新たな導体レイアウトパターン最適設計法の確立を目指した。2023年度は、数値計算プログラムの実装に成功し、パラメトリックモデルを用いて生成した単純な導体レイアウトパターンから、新奇かつより高性能な導体レイアウトパターンの生成に成功した。今後は、得られた導体レイアウトパターンが高性能を発揮する根拠を電磁気学の観点から明らかにし、論文化を目指していく。