表題番号:2023C-499 日付:2024/04/05
研究課題トポロジカル光導波路を用いた光集積回路の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 准教授 硴塚 孝明
研究成果概要
近年、トポロジーの概念を光制御に適用したトポロジカルフォトニクスが注目を浴びており、一方向性光伝搬等の新奇な特性が報告されている。一方でフォトニック結晶を用いたトポロジカル光導波路は一般的な導波路との結合効率が低い課題があり、結合効率の向上により、トポロジカル光導波路と既存のシリコンフォトニクス集積デバイスとの融合が期待される。本研究では、シリコン細線導波路とトポロジカル光導波路の結合の改善をシミュレーションにより検討した。SOIスラブ構造に三角エアホールを有するハニカム構造からなるフォトニック結晶を形成し、エアホールサイズの異なる2領域を面内で接合することで、接合界面にトポロジカルエッジ状態を生成してトポロジカル光導波路を形成した。この光導波路の両端にシリコン細線の光入出力導波路を設けて波長1.55μmにおける光伝搬をシミュレーションした。フォトニック結晶側にテーパ状の欠陥構造を導入したモード変換構造と、テーパに加えて接合界面に欠陥構造による共振器を形成したモード変換構造を2次元の有限要素法解析により比較した。テーパ状のモード変換構造により、シリコン細線入出力導波路間で45%の透過率が得られることを示し、細線導波路の伝搬モードとトポロジカル光導波路の光渦モード間の高効率な変換が得られることを示した。共振器構造は局所的に60%を超える結合が得られる一方で波長依存性が大きく、テーパ構造によるモード変換が有用である。また、テーパ構造の3次元シミュレーションを行い、細線導波路とフォトニック結晶導波路間でおいて54%の結合効率を得た。これらのモード変換構造はトポロジカルフォトニック結晶と既存光導波路デバイスの集積に向けて有用である。