表題番号:2023C-494 日付:2024/02/11
研究課題農山漁村の脱炭素化に向けたサステナビリティ・トランジション論からのアプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院環境・エネルギー研究科 准教授 野津 喬
研究成果概要

農山漁村の脱炭素化に関して、以下の研究成果を達成した。

農山漁村の脱炭素化の重要な手段の一つとして着目される営農型太陽光発電に対する消費者の認知と評価を明らかとした。具体的には営農型太陽光発電が多く許可されている関東地域の消費者を対象とするアンケート調査を実施し、営農型太陽光発電が多く許可されている関東地域においても、営農型太陽光発電の消費者の認知度はいまだに低いこと、農業が持つプラスのイメージが、営農型太陽光発電の発電面に対する消費者評価を高めている可能性があること、営農型太陽光発電の消費者の受容度を高めるためには、メリットとしての温暖化解決をPRすること及び、デメリットとしての農産物品質影響と景観影響への不安を和らげることが必要であることを明らかにした。本成果はエネルギー・資源学会誌に査読論文として掲載された。

また農山漁村の脱炭素化の前提となるスマート農業について、全国で実施されているスマート農業実証プロジェクトを横断的に分析することにより、スマート農業技術の実証がどのような目標に向かって取り組まれているかを俯瞰的に明らかにした。また農林水産省が2016 年に設置した「「知」の集積と活用の場 産学官連携協議会」の活動報告書データを用いて、農林水産分野のオープン・イノベーションの現状を分析した。分析の結果、他分野メンバー比率が低いプラットフォームは「異分野→農林水産」というベクトルで、他分野メンバー比率が高いプラットフォームは「農林水産→異分野」というベクトルで活動を行っている傾向があること、農林水産分野のメンバー中心のプラットフォームと他分野メンバー比率が高いプラットフォームは、農業の生産性向上という共通の目的を有している一方で、そのアプローチが異なることなどを明らかにした。これらの成果は、農業経営研究および農業経済研究にそれぞれ、いずれも査読論文として掲載された。