表題番号:2023C-471 日付:2024/04/02
研究課題ハイブリッド波長可変レーザを用いたFMCW計測の高速化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 北 智洋
研究成果概要

Frequency Modulated Continuous Wave(FMCW)法を用いたLiDARは、ヘテロダイン検波によって長距離にある対象物の距離を高精度に検出できる。ハイブリッド波長可変レーザの縦モードを直接変調することによってFMCW計測に必要な周波数チャープ光を発生できるが、従来の周波数チャープ光は1 kHz程度の繰り返し周波数にとどまっていた。高解像度・高フレームレートなLiDARのためには、より高速に周波数チャープを発生できるレーザ光源が求められている。本年度の研究では、従来の縦モード変調にシリコン導波路に直接電流を注入して通電加熱する高速位相シフタを用いることで繰り返し周波数の高速化を試みた。本高速位相シフタは、シリコン導波路のマルチモード干渉を利用することで非常に低損失な位相シフタを構成できる。また、加熱部分の熱容量が非常に小さいために、高速・低消費電力な位相変化が可能である。高速位相シフタを装荷したハイブリッド波長可変レーザにおいては、繰り返し周波数1 MHz、周波数帯域1 GHzの周波数チャープ光の発生に成功した。本レーザを用いることで1 cm以下の距離計測精度を実証した。さらに高速ADコンバータの導入によって計測時間を大幅に短縮することに成功した。