表題番号:2023C-469 日付:2026/05/28
研究課題層状アルミノシリケート膜の粒径調整によるガス透過性制御
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 准教授 江口 美陽
研究成果概要

本研究では、層状アルミノシリケート粒子の粒径を調整することにより、無機層状膜の微細構造を制御し、ガス透過性を調整するための基礎的知見を得ることを目的とした。層状アルミノシリケートは、板状粒子が積層することで分子の拡散経路を長くし、ガスバリア性や選択透過性の発現が期待される材料である。一方で、膜中の粒子配向、粒子間空隙、欠陥形成は、原料粒子のサイズや分散状態に強く依存すると考えられる。そこで本研究では、粒径の異なる層状アルミノシリケート分散液を調製し、成膜条件と得られる膜構造の関係を検討した。

その結果、粒径の違いにより、膜の緻密性および表面状態に明確な差異が生じることを確認した。比較的小さい粒子を用いた場合には、粒子がより均一に充填され、膜中の大きな空隙や欠陥が抑制される傾向が見られた。一方、大きい粒子を用いた場合には、粒子間に形成される空隙や局所的な配向の乱れがガス透過に影響する可能性が示唆された。これらの結果から、層状アルミノシリケート膜においては、化学組成や膜厚だけでなく、粒子径および粒径分布がガス透過性を左右する重要な構造因子であることが分かった。

本助成により、粒径制御を通じた層状無機膜の構造設計に関する基礎データを取得することができた。特に、粒子サイズを調整することで、膜の緻密化による透過抑制と、粒子間空隙を利用した透過性向上のバランスを設計できる可能性が示された。今後は、膜厚、湿度、対象ガス種、粒子表面状態の影響を系統的に評価し、透過性と選択性の相関を明らかにすることで、分離膜・バリア膜材料への展開を進める。