表題番号:2023C-457 日付:2024/03/11
研究課題様々な拘束条件におけるベントナイト系材料の膨潤に伴う発生圧力の等方性評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 講師 伊藤 大知
研究成果概要

高レベル放射性廃棄物の地層処分における緩衝材として,ベントナイト系材料を締め固めて施工することが有力である.緩衝材周囲には施工上,隙間が生じることが考えられ,膨潤変形により充填する必要がある.緩衝材の設計にあたっては,上記の隙間充填過程において想定される様々な拘束条件において,発生圧力が鉛直・水平方向において等方的であるか否かや,乾燥密度・含水比等状態量の推移を予測・評価する必要がある.本研究では,20 kPaの低拘束圧下での膨潤変形実験や隙間充填実験を通し,乾燥密度や含水比の分布や発生圧力の等方性を実験的に評価した.本研究では,クニゲルV1およびクニゲルV1・三河珪砂V7号を70:30で混合した試料を用いた.膨潤変形実験については,厚さ2mmのステンレスリング積層体を用いて13711日間給水した後に乾燥密度や飽和度を計測した.また,隙間充填実験については直径60mm,高さ20mmの供試体に対し,所定の隙間を上部に設けた条件で鉛直・水平方向の圧力を計測した.その結果,膨潤変形実験については供試体内の含水比や乾燥密度の経時変化を取得でき,全ケースとも飽和度90%以上と飽和に近い状態であったことから,本研究のスケールではまず供試体全体が飽和した後に給水面側から膨潤変形挙動が始まり,経時とともに全体が膨潤変形して乾燥密度が一様化することが推察された.また,隙間充填実験における発生圧力については,隙間充填時においては水平方向圧力の方が鉛直圧力よりも1.5倍ほど大きく,等方化に至るまで長期間を要することが示唆された.また,発生圧力が収束した40日経過時点で含水比・飽和度は一様化していたものの,供試体内の乾燥密度が一様化には至っておらず,隙間充填時においても乾燥密度の一様化に長時間を要することが示唆された.今後は,より長期的なスパンでの発生圧力の等方性評価や,状態量分布の理論的予測方法の確立を目指す.