表題番号:2023C-446
日付:2024/04/04
研究課題オフィスにおける積極的快適性に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 講師 | 鵜飼 真成 |
- 研究成果概要
- 本研究では、実際のオフィスにおけるプレザントネスの発生状況の把握、およびプレザントネスが1日を通しての温熱環境評価に与える影響を調査することを目的に、均一な環境を目指した従来型のオフィス(Aオフィス)と環境選択性を備えたオフィス(Bオフィス)を対象に実測調査を行った。
1) Bオフィスでは、定点におけるPMVと温冷感の間に有意な相関が確認されなかった。したがって、環境選択性を備えたオフィスにおいては、定点で測定したPMVを用いて心理量を予測する評価手法は必ずしも適当ではなく、執務者個人の体験した温
熱環境や瞬間的な心理量に着目する必要性が示唆された。2) リアルタイム快不快感申告時の人体熱負荷の結果から、夏季のオフィスにおいては、涼しい環境の方が気持ち良さを感じやすく、暖かい環境の方が不快を感じやすい傾向が確認された。
3) 快不快申告時の人体熱負荷と申告以前のEMA変化量の関係を分析した結果、気持ち良い申告に関しては、受熱状態で放熱側へと変動している時、または放熱状態で受熱側へと変動している時に多く発生する傾向がみられた。また、不快申告の多くは、申告以前に人体熱負荷が受熱側へと変動したことが原因であった。
4) 均一な環境を目指した従来型のオフィスにおいては、瞬間的な不快を感じないことが重視される一方で、環境選択性を備えたオフィスにおいては、不快の発生そのものではなく、不快を解消できない状態の継続が温熱環境に対する不満につながっていた。
5) 環境選択性を備えたオフィスでは、瞬間的な気持ち良さ、すなわちプレザントネスの発生によって、1日を通しての温熱環境満足度を向上させることが可能であった。したがって、環境選択性を備えたオフィスでは、瞬間的な不快が発生したとしても、執務者自身の環境調整行動により不快を脱却し、プレザントネスを体験することで、温熱環境に対する評価が向上する環境を実現可能であることが示唆された。