表題番号:2023C-431 日付:2024/02/11
研究課題手指動作解析手法ならびに瞳孔情報解析手法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 柳澤 政生
研究成果概要
生体情報と人間の日常生活は密接に関係している。特に、顔、指紋、音声等の生体情報を用いた生体認証は、スマートフォンのセンサや金融機関のATM 等の多くの場面で用いられる。本研究では、バイオリン演奏の生体情報、特に筋肉が発生する電位EMGに焦点をあてた。実験の結果、全ての測定箇所で、EMG の値が安静時、ビブラート無、ビブラート有の順で大きくなった。ビブラート演奏では、他条件よりも規則性のある波形となった。尺側手根伸筋と橈側手根伸筋では、ビブラート有のEMG の値がビブラート無の2 倍程度となった。腕橈骨筋では、ビブラート有のEMG の値がビブラート無の4 倍程度となった。全体的に演奏時でのEMGの値が低かったが、これはMann らの研究と一致した。ノイズ比は当初の30%から5%と削減に成功した。
ヴィジランスとは、「比較的長時間における持続的な注意状態」を表す用語である。ヴィジランスは認知のパフォーマンスや睡眠・覚醒水準の評価にも用いられる指標である。ヴィジランスを客観的に測定するには精神運動ヴィジランス課題(PVT : Psychomotor Vigilance Task)が多く用いられる。PVTとはランダムな間隔で提示される視覚刺激に対して反応し続ける課題であり、その反応速度を測定する。PVTの反応速度を推定することを「ヴィジランス推定」と定義する。本研究ではヴィジランス推定に瞬目活動、瞳孔運動、眼球運動といった視覚-運動系指標を用いた。ヴィジランス推定に有効な瞳孔特徴量の発見及び、瞳孔の周波数解析結果とニューラルネットワークを組み合わせたヴィジランス推定手法を提案した。瞳孔径の周波数や揺らぎに関する特徴量の重要度が高いことを示した。また、EMD とニューラルネットワークを用いた手法は、機械学習を用いた手法に対してRMSE が約0.1[1/s]小さくなることを示した。