表題番号:2023C-426 日付:2024/02/05
研究課題特異性を持つ数理モデルの精度保証付き分岐探索
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 浅井 大晴
研究成果概要

特異性という数学的な複雑性を持つ数理モデルに対し、計算機が誤りなく全ての現象パターンを自動で探索計算できることを研究目的として本研究を行った。

具体的には、特異性を持つ数理モデルとしてエノン型方程式にフォーカスして研究を行い、探索した解の存在証明のために精度保証付き数値計算を使用した。精度保証付き数値計算は、コンピュータの計算に含まれる誤差を全て把握して、「ε>0の範囲で解が唯一存在する」という論法を使用して数学的な証明/保証を与える手法である。エノン型方程式は固定されたパラメータに対して、複数の解をもつため、これまで純粋数学では解が複数個に分岐する条件を絞り切れずにいた。それに対して、本研究ではコンピュータを使用し保証付きで解の分岐の追跡を行った。結果として、微分幾何学ではカスプ点と呼ばれる、解の分岐点を精度保証付きで求めることに成功して、解が複数に分岐するタイミングが明らかとなった。ゆえに、結果として、計算機が誤りなく全ての現象パターンを探索する起点の個所の特定方法が本研究により得られた。

上記の研究成果は、ICIAM2024およびRIMS拠点事業「新時代における高性能科学技術計算法の探究」にて発表を行った。

今後の課題としては、「これ以上解がない」ことを証明するために、射撃法を用いた全解探索手法などを検討している。