表題番号:2023C-417 日付:2024/04/02
研究課題レーザー誘起キャビテーションクラウドの二次元流速ベクトル場の計測
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 助手 牛奥 隆博
(連携研究者) 早稲田大学理工学術院 教授 吉村浩明
研究成果概要

クラウドキャビテーションは集団的に成長と圧壊を繰り返すリバウンド挙動を示すことで知られ,特に圧壊時に強力な衝撃波を放出するとされている.このような衝撃波現象は流体機械において騒音や振動,壊食といった有害な現象を引き起こす一方で,近年ではパルスウォータージェットメスや水質改善技術等,医療や環境の分野において工学的な応用が進められている.したがって,衝撃波を誘起するクラウドキャビテーションの非定常挙動の詳細を明らかにすることは重要な課題である.しかし,本現象は少なくともマイクロ秒のオーダーの非常に高速な現象であるために,従来の研究では実験的にクラウドの非定常挙動を詳細に観測された例は少ない.特に,クラウドの非定常挙動に伴う流速ベクトル場の変化を観測した例はほとんど見当たらず,クラウドの周囲の流動構造は実験的に明らかにされていないのが現状である.そこで,本研究では,粒子画像流速測定法(PIV法)によるクラウド周囲の流速ベクトル場の計測と観測を行い,クラウドの非定常挙動に伴う流動構造の変化について調査を行った.具体的には,水中パルスウォータージェットの噴射に伴って発生するクラウドを対象として,蛍光PIV法と撮影速度30fpsの高速度ビデオカメラを用いて粒子画像を撮影し,PIV解析によりクラウド周囲の流速ベクトル場と渦度場の計算を行った.その結果として,クラウドの成長過程において双子渦の流れ場が発生し,そしてクラウドの非定常挙動に伴って運動する様子が観察された.また,申請者のグループがこれまでに実施してきた,SPH法による二次元混相流解析の結果と比較したところ,両者においてクラウドの成長・収縮過程における双子渦の流れ場の運動,およびクラウドの圧壊前後での渦構造の消失と再発生が見られ.数値解析結果と実験結果で観察された流動構造が定性的によく一致することが明らかになった.