表題番号:2023C-416 日付:2024/02/09
研究課題切り紙型熱電発電デバイスの放熱特性解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 寺嶋 真伍
(連携研究者) 早稲田大学 教授 岩瀬英治
(連携研究者) 東京大学 教授 塩見淳一郎
(連携研究者) 東京大学 特任講師 大西正人
研究成果概要
本提案研究の対象は,「金属のような硬い材料であっても切り紙パターンを加工することで,高い延伸性を付与できる」という特性を持つ切り紙を基板構造として採用した切り紙型熱電発電デバイスである.本研究の内容は,(1)伝熱特性の調査,(2)切り紙型基板および熱電素子の寸法最適化,(3)曲げ・伸縮変形耐性に関する評価,(4)新規切り紙型熱電発電デバイスの提案という4つの評価項目をこなす必要があると考えている.これらの中でも今年度では,(2)基板および熱電素子の寸法最適化,および(3)曲げ・伸縮変形耐性に関する評価に注力した.研究項目(2)に関しては,切り紙状の基板を面外変形させることで立ち上がる天板部分の面積を変化させながら,出力を計測した.具体的に天板の横幅を1, 4, 7, 10, 13 mmと変化させた.天板の縦幅は一定とした.その結果,面積が増大するにつれて出力が増大すると予想したが,天板の横幅が7 mm以上では出力は増大せず,一定の出力となった.また,天板の横幅が7 mmの場合の出力が,天板の幅が1 mmの場合の出力よりも1.5倍大きくなったため,今後は天板の幅として7 mmを採用する.ここで,なぜ天板の横幅が7 mm以上では出力が上昇しなかったのかという疑問に対して,来年度以降にて,数値シミュレーションを用いることで,詳しく調査する.一方で研究項目(3)に関しては,12対のアレイ状切り紙型熱電発電デバイスを曲げた状態,および引き伸ばした状態にて出力を計測した.使用した熱電素子の寸法は,[長さx幅x厚み]が[4x3x1 mm]であり,これは前年度の研究にて判明した「熱電素子においては,[長さx幅x厚み]が[4x3x1 mm]のとき,大きな温度差と低電気抵抗のバランスをとることが可能である」という研究成果を反映している.出力の変化量は10%程度であったため,たとえ熱源面の形状が曲面であったり,伸縮する面であっても,安定して発電可能であることを把握した.