表題番号:2023C-415 日付:2024/04/05
研究課題流れの高精度近似手法と構造最適化による水冷傾斜機能ラティス構造の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 竹澤 晃弘
研究成果概要
近年,次世代の加工技術として金属積層造形が注目を集めており,高い形状自由度を活かし,高性能な熱交換器の製造法としてその地位を固めつつある.特に造形対象内部に中空構造を周期的に設けたラティス構造は,従来の水路という概念を取り払った,巨大な表面積を活かした極めて高効率の熱交換が実現できる期待がある.しかし,金型内部に熱交換に効果的な流れを生み出すには,ラティス形状を箇所によって適切に変化させた,いわゆる傾斜機能材料のような構造にする必要がある.本研究では,多孔質体の速い流れを近似的に表現するBrinkman-Forchheimer方程式を,代表体積法による巨視的流れ抵抗の導出と組み合わせてラティス構造に適用し,ラティス構造内の流れを巨視的・近似的に短時間で計算する手法を構築した上で,ラティス密度分布最適化法と組み合わせ,最適な熱交換傾斜機能ラティス構造を実現した.具体的には,単位ラティスの基本形状は円筒とし,異方性を考慮してDarcyの浸透率,Forchheimerの抵抗係数,および熱伝導率をテンソルとして,代表体積法で導出した.そして,設計変数である円筒の直径とそれらの実効的特性の関係を近似するために,多項式関数を導入した.熱交換現象は,定常の熱伝導・流れ問題の弱連成問題として扱い,圧力境界条件および熱流束境界条件の下で,表面温度の最小化と流量の最大化の2種類の最適化を行った.最適解は,Laser Powder Bed Fusion(LPBF)金属積層造形を用いて実際に造形し,実験検証を行った.一連の成果は国際学術誌に投稿中である.