表題番号:2023C-414 日付:2024/02/21
研究課題グラフェンを界面に導入した高強度ガラス繊維プラスチックの作製
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 准教授 荒尾 与史彦
研究成果概要

本研究では、ガラス繊維強化プラスチックの更なる高強度・高剛性化を成し遂げるために、ガラス繊維にグラフェンを均一コーティングさせることを試みた。グラファイトをメカノケミカル処理により可溶化させることに成功し、水とアルコールの混合液中で超音波を照射することで、グラフェンを完全に剥離分散させることができた。その分散液にガラス繊維を浸すことで、静電相互作用によってガラス繊維表面へグラフェンが均一にコーティングされることを確認した。次のステップとして、ガラス繊維の織物材を分散液にコーティングさせたところ、グラフェンは織物の繊維束内へと拡散し、織物材へのグラフェン均一コーティングが可能であることを確認した。一方でこのコーティングは物理的な吸着のみであり、樹脂を含浸させた際にコーティングが剥がれて樹脂へと拡散する。グラフェンの剥落を防ぐために、グラフェンコーティング後にエポキシを薄くコーティングさせることで、グラフェンの剥落を防ぐことができた。この二重コーティングを施した織物材を基材とし、樹脂を含浸させてハンドレイアップ処理によりガラス繊維強化プラスチックの成形を行った。グラフェンコーティングを施すことで、何もコーティングしていないものと比較して強度、剛性ともに約20%の向上が得られた。この機械的特性向上メカニズムについては期待値よりも大きく、更なる分析による理論構築が求められる。