表題番号:2023C-407 日付:2024/03/26
研究課題コロナ禍における消費者購買行動の実証分析-SNSデータとの接合-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 加納 和子
研究成果概要

本研究では、コロナ禍初期である201912月から20208月の東京都でのトイレットペーパーの取引別購買データを用いて、コロナ禍での消費者行動の変容についての分析を前年度に引き続き行った。比較対象としては2015年の同一消費者の購買データを用いた。新型コロナ感染者数と購買量および購買頻度との有意な関係はみられないものの、第1回目の緊急事態宣言時は購買頻度が有意に低下した。その一方で、トイレットペーパーの供給不足が噂されたとされる期間には、購買量および購買頻度の増加がみられたことを確認した。更に行動変化には平均的に想定される保有在庫量の多寡などにより違いがあり、消費者の異質性が重要であることが観察された。本年度の特色として噂の伝播による買いだめ行動をより詳細に分析するため、SNSの情報を収集することを予定していた。しかしながらTwitter社のX社への移行に伴い情報の取得に困難が生じたため、新聞記事の情報を中心にすることとした。現時点では図書館収蔵の新聞記事検索サービスを用いて当時の記事情報の収集を行いながら、テキスト分析の習得および実装を進めている。具体的には「コロナ」「トイレットペーパー」といったキーワードを含む記事の抽出を行い、さらに不安や感情要素を表す語句との共起分析および出現頻度の時系列的な把握を進めている。このことにより異時点間の購買の代替に将来の不確実性がどの程度影響するのか考察することが可能になると考えられる。