表題番号:2023C-397 日付:2024/03/20
研究課題21世紀における英語言語活動の変化:gender, diversity への配慮
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 森田 彰
研究成果概要
昨年度を引き継ぐ形で行った本研究の最終目的は、20世紀後半の Politically Correct (PC) とは違った文脈で顕著になっている diversity  に配慮した英語の運用、表現を分析することによって、その知見を日本の英語教育、特に中等・高等教育における英語教科書、教材を開発に活用することにある。その前段階として、2022年度に行った gender に関する英語運用・表現について、ウェッブ上での公的な文書について調査を継続した。分析の焦点も、昨年度に続き、she/he に代わる they の用法である。特にフランス語、ドイツ語、スペイン語など文法性を持つ言語に比べ、英語では、英語教材も含め多くの場面で使用されていることが確認できているが、また一方で、過去の言語活動の産物、例えば文学作品については、世界的に著名な児童文学者 Roald Dahl の作品が出版社によって現代の diversity の観点からは「不適切な表現」が修正され出版されたことなどに対し、オリジナリティ尊重、また著作権の観点からの批判も続いている。そうした「試行錯誤的」状態の中で実際の運用は、SNS への拡大が顕著になっている。こうしたデイタを基に Digital Learning Associates のビデオ教材を活用した大学向け英語教材 Global Gate (成美堂)の執筆チームと教材への反映に関して検討を行い、reading passage, listening material に関しては、video 本編とのバランスで自然な形で使用できる箇所では考慮する事に決定した。ただし、grammar の explanation では、主語にヒトを用いる場合、敢えて gender-free な名前を避け、必要な代名詞の性と数を担保してみるという実験を試みた。この試み関しては、今後のデイタの蓄積と分析から、来年度以降に、十分な検証が必要であると考えている。