表題番号:2023C-362 日付:2024/03/19
研究課題中世後期フランチェスコ会の司牧活動における聖人伝・預言・権威
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 助手 白川 太郎
研究成果概要
本研究では、14−15世紀托鉢修道会が作成した司牧的聖人伝の内容を検証し、そこで機能している「預言」の機能・意義を明らかにすることを目指した。事例としては、中部イタリアのフランチェスコ会士たちが作成した伝記群を設定した。研究課題採択後の2023年8−9月に3週間イタリアへ渡航し、研究方針についてフィレンツェ大学の宗教史研究会で報告を行い、同大学歴史・考古学・地理学・美術・演劇学部准教授のイザベッラ・ガリャルディ氏をはじめとする隣接分野の研究者と討論を行った。また、この渡航期間に史料調査を行い、中世ローマ教会世界において「預言」と連関する恩寵として捉えられていた「霊の識別」に関する分析を進めた。その成果は、京都大学西洋史読書会大会(2023年11月3日)にて報告を行い、同大学名誉教授の服部良久氏、同教授の佐藤公美氏、同非常勤講師の藤田風花氏、奈良女子大学名誉教授の山辺規子氏らから有意義なフィードバックを得た。報告内容はイタリア語論文として投稿し、現在査読中である。年度後半は、8−9月の渡航期間に収集した史料の文字起こしおよび分析を進めた。その内容は、来年度半ばまでに英語論文として査読付き国際誌に投稿の予定である。