表題番号:2023C-359
日付:2023/11/11
研究課題張家山三三六号墓出土漢簡の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 柿沼 陽平 |
- 研究成果概要
- 張家山三三六号墓出土漢簡は2022年度に全面公開された出土文字資料であり、中国古代、とりわけ前漢前期の法律などをふくむものとして注目される。本研究ではまずその釈文を検討し、全ての日本語訳を作成した。そのうえで、前漢時代に関する諸史料と比較検討したうえで、前漢時代の法制の解明を目指した。なかでも「功令」とよばれる史料は、前漢官吏の起用や昇進・降格にかかわるものであり、歴史家の司馬遷もかつてそれを読んだと伝わる。司馬遷は太史令という官職につき、その職掌のひとつとして「功令」を読んだ。だとすれば、「功令」の史料的性格をより正確に把握するには、それと太史令との関連について検討せねばならない。結果、歴史書・司馬遷・太史令・功令とのあいだには複雑な関係があり、司馬遷の着任した太史令は「史」とよばれる一種の資格を統括する官職であり、「史」は特定の文字に関わる官職の資格であり、その資格の確保を巡る記載が「功令」にみられるという点を解明した。学会報告のYohei KAKINUMA, "Taishi Ling 太史令 and Shiji 史記," New Perspectives on the Records of the Grand Historian (Oriental Institute, Czech Academy of Sciences: 3-4 July 2023)を参照されたい。