表題番号:2023C-358 日付:2023/10/16
研究課題近現代日欧における猫文化とその歴史的背景に関する比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 真辺 将之
研究成果概要
本年度の成果は主に2つ挙げられる。ひとつは、欧米の動物、特に猫に関する文献を多数収集し、それをもとに、欧米における動物文化のあり方を歴史的に探ることができた。特筆できるのは、前年度までフランスにおける猫文化を中心に検討してきたのに対し、本年度もフランスを訪問することで多数の猫に関する文献を集められたこと、さらに、英語の猫文化関連の文献についても本年度は多く入手することができたことである。
またもうひとつは、夏季休業期間中にヨーロッパ諸国に渡航し、各国における動物に関わるモニュメントや街アート、さらに猫にまつわる物品を展示する博物館(たとえばオルセー美術館にて開催されていた猫の小展示など)等を見学し、多くの写真を撮影することができた。
これらをもとに、それぞれの国や地域における動物文化のあり方の歴史と現状や、その背後に存在する歴史的文脈や社会的監修について考察を深める緒を掴むことが出来た。
このほか日本での調査結果をふまえて、室生犀星や谷崎潤一郎などの文筆家を題材に、歴史のなかにおける猫認識の変化や、「猫好き」のあり方の変化について検討を行ない、それらに関する論文2本の学術雑誌への掲載が決定した。このほか、本研究の成果を含む、ヨーロッパの人と猫の関係史や猫をめぐる文化史に関する著書を発表するべく、現在執筆準備を進めている最中であり、近い将来その成果を世に問うことができるものと考える。