表題番号:2023C-328
日付:2024/03/06
研究課題マンション区分所有法制の改正と土地法法制・都市法制の在り方に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 法学学術院 大学院法務研究科 | 教授 | 鎌野 邦樹 |
- 研究成果概要
- 今日のわが国の都市においては、マンションが平均的な住宅となっている。その中にあって、法務省は、今後、マンションの大量の老朽化が見込まれることから、法務大臣の諮問の応じて法制審議会を開催し、2024年1月に区分所有法改正要綱をとりまとめ、2024年6月以降に同改正法が成立する見込みである。そのような社会的背景の下で、本特定課題研究(以下「本研究」という。)においては、同改正法が今後の土地法制・都市法制に与える影響を調査研究した。同改正法では、現行法制の「建替え」制度のほか、「建物敷地売却等(解消)」および「一棟リノベ-ション」の2つの制度を新たに創設した。ただ、現実には、「建替え」は主として区分所有者の費用負担の点で、「建物敷地売却等(解消)」は売却価格の点で、「一棟リノベ-ション」はその内容・費用負担の点で、その合意形成(5分の4以上等の賛成)が容易でないと思われる。したがって、今後当面は、現マンションをできるだけ「長寿命化」することが求められ、同改正法は、共用部分の管理および変更の円滑化を図るため、所定の定足数を満たした場合には、「出席者の多数決議(代理人出席・書面による議決権行使を含む。)」の制度を新たに導入した。本研究では、今後の都市において、管理不全・危険有害マンションの出現を防止するためには、各マンション管理組合が新たに導入された「出席者多数決議」によって、いかに「長寿命化」を実現するかにかかっているかを明らかにした。