表題番号:2023C-319 日付:2024/02/24
研究課題地方公共団体におけるカーボンニュートラルの法と政策
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 田村 達久
研究成果概要
 日本が2020年秋に宣言した2050年カーボンニュートラル(CN)を実現するためには、公的セクター内においても脱炭素化に向けた全国の地方公共団体の協力・協働が必要不可欠である。ただし、全国の地方公共団体は、その地理的環境、地域の産業構造も一様ではないため、国としては、各地方公共団体が、各地域における民間セクターの状況をも踏まえた多種多様な取組みをその創意・工夫によって進めてもらうことが重要となる。本研究では、ゼロカーボンシティ宣言を行った地方公共団体のうちから、内陸県(つまり非臨海県)である長野県及び臨海県である新潟県の2広域的地方公共団体を選び、それら団体の関係政策等の現状・課題を調査しての実証的研究を遂行した。長野県は「ゼロカーボン戦略」を策定し、これに基づき県内交通、産業、再生可能エネルギー等を軸としてCN政策の遂行とその管理及び成果検討を行いつつ取り組みを継続している。新潟県は、その地理的特性である日本海臨海性を基礎として、既存の掘込港や日本海側最大のコンテナターミナルなどの既存インフラの存在とその利用可能性という利点を活かして、洋上風力発電の政策の遂行を中核としつつ、地域のCN政策を推進するといった特徴を持つ。もっとも、両県の各政策の成果等については、今後の推移を観察しての考察と分析が必要であり、事の性質上、これは将来の課題とせざるをえない。