表題番号:2023C-316 日付:2024/04/05
研究課題訴訟当事者としての権利能力なき社団と構成員の「組織法的関係」
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 准教授 中本 香織
研究成果概要
 本研究では、権利能力なき社団が訴訟当事者とする訴訟における、社団と構成員との訴訟法的関係を明らかにすることを目的とした。既にこれまでの研究で、権利能力なき社団の当事者適格の根拠につき、第三者の訴訟担当か社団の固有適格かを検討した。今回の研究では、第三者の訴訟担当に焦点を当て、訴訟担当者が受けた判決効の被担当者への拡張の根拠について検討することから研究を開始した。
 具体的には、第三者の訴訟担当のうち、法定訴訟担当の典型例とされている遺言執行者の当事者適格と判決効拡張につき、近時の最高裁判例である最判令5・5・19民集77巻4号1007頁を題材に、遺言執行者を訴訟担当者、相続人又は受遺者を被担当者とする訴訟における遺言執行者の当事者適格及び判決効拡張場面につき整理・分析を行った。
 また、第三者の訴訟担当は法定訴訟担当の他に任意的訴訟担当も判例上肯定されているところ、任意的訴訟担当については、最大判昭45・11・11民集24巻12号1854頁の示した許容要件の分析、被担当者への判決効拡張の根拠につき検討を行った。
 本年度は第三者の訴訟担当論を中心とした研究にとどまったが、研究結果を元に、社団の当事者適格につき固有適格構成を採用する場合の判決効拡張の根拠について、引き続き研究を進めることとしたい。