表題番号:2023C-314 日付:2024/03/31
研究課題動産物権変動における占有の機能について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 三井 瑞生
研究成果概要

 私は、2023年度特定課題研究助成費をもとに、引渡し(ないし占有)が動産所有権譲渡において有する機能について、ドイツにおける議論を参照しながら研究を行った。引渡し(ないし占有)の公示力の脆弱さが指摘されている中、引渡し(ないし占有)には動産所有権譲渡の場面において他に機能があるか否かを検討した。日本およびドイツにおける動産所有権譲渡論や占有論に関する文献を収集し、とりわけドイツにおける議論状況の分析に多くの時間を費やした。そこで、ドイツでは、第三者にとっての認識可能性が伴っているとは評価できない方法での所有権譲渡がこれまで多数認められていること、このことを踏まえて、動産所有権譲渡における引渡主義の主たる機能として公示以外の機能を挙げる見解があることを明らかになった。この成果から得られる日本法への示唆を取りまとめた上で、今後学内の紀要にて公表する予定である。