表題番号:2023C-300 日付:2024/03/27
研究課題〈批判的反省としての自律〉を促進するリベラリズムの正当化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 助手 石山 将仁
研究成果概要

2023年度はジョン・ロールズの反照的均衡に関して研究を行なった。

 ロールズの反照的均衡とは、原初状態によって導出された正義原理と、市民の熟慮された判断を互いに照らし合わせ、原理と判断の双方が修正され得ることで、両者の妥当性を高める推論(プロセス)と表現することができる(註1)。ロールズの反照的均衡を発展させたのがDaniels (1996)である。彼はロールズよりも広範な諸理論(背景理論・実現可能性テスト)を組み合わせることで、反照的均衡自体の妥当性を示そうとしている。

 しかしながら、ロールズの反照的均衡とダニエルズのそれに共通する問題点がある。その問題点を指摘する内容の学会報告ないし論文を、2023年度、準備していた。

 

(註1)Rawls (1999) sec.4 & Rawls (2001) sec.10.

 

Rawls, J. (1999) A Theory of Justice (Revised Edition). Harvard University Press. 川本 隆史・福間 聡・神島 裕子()『正義論 改訂版』、2010年 紀伊国屋書店

Rawls, J. (2001) Justice as Fairness: A Restatement. Kelly, E. (ed.) Harvard University Press. 田中 成明・亀本 洋・平井 亮輔 () 『公正としての正義 再説』 2004年、岩波書店

Daniels, N. (1996) Justice and Justification: Reflective Equilibrium in Theory and Practice. Cambridge University Press.