表題番号:2023C-293
日付:2024/04/05
研究課題ヒトと動物の経済的意思決定の共通性に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | データ科学センター | 講師 | 望月 泰博 |
(連携研究者) | 理研CBS | 研究員 | マヤンク・アガワル |
(連携研究者) | 理研CBS | テクニカルスタッフ | 原澤寛浩 |
(連携研究者) | 山口大学 | 助教 | 陳冲 |
(連携研究者) | 一橋大学 | 准教授 | 福田玄明 |
- 研究成果概要
- 経済的意思決定における選択結果の確率的ばらつきは、リスクと呼ばれる。経済学では古くからヒトのリスクを伴う経済的選択が研究されており、そこでは「効用最大化の原理」に基づく選択が仮定されることが一般的であった。これに対して、動物行動学では、動物の採餌行動に関わるリスク選択が研究されており、そこでは「適応度最大化の原理」に基づく選択が仮定されてきた。本研究では、ヒトの経済的意思決定の根本原理が適応度最大化である可能性を検討した。具体的には、従来の経済学におけるリスク選択研究で用いられた同様に繰り返しそれぞれに独立なリスク選択を行う課題を用意した、異なる実験ブロックごとに報酬の平均的な得やすさを調節した。その結果、報酬を得やすい環境と得づらい環境を比較すると、実験参加者の選択に適応度最大化の原理から予測されるリスク選好の違いが見られた。この結果はヒトの経済行動が効用最大化ではなく適応度最大化の原理に基づくことを示唆している。本年はこの研究結果を論文としてまとめ、米国誌Plos Computational biologyに投稿するとともに、国内外の複数の学会・研究会で研究報告を行った。