研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 本庄高等学院 | 教諭 | 太田 洋平 |
(連携研究者) | 東京工業大学 | 准教授 | 鈴木 咲衣 |
- 研究成果概要
2023年度は Hopf 代数HのDrinfel’d double D(H) において定義される様々な概念をHeisenberg double H(H) においても定義することを目標に研究を行った.Lie 双代数 g の普遍包絡環 U(g) の量子変形であるU_h(g) のDrinfel’d double D(U_h(g)) は g のManin triple Dg の普遍包絡環 U(Dg) の量子変形となっている.D(U_h(g)) の普遍R行列はQuantum Yang-Baxter equation(QYBE)を満たし,これを用いて量子不変量を構成できるが,この普遍R行列Rに対応するものとして,Dg に古典r行列rが定義でき,こちらはClassical Yang-Baxter equation(CYBE)を満たす.Heisenberg double H(U_h(g)) はQYBEの類似であるHopf equation(HE)を満たすが,H(U_h(g)) においてDg や r に対応するもの(これらをHg,sとする)は知られていない.これらの適切な定義を探すため,文献調査を行った.有限次元Hopf 代数 のHeisenberg double は一般にHopf algebroid 構造を持つ [Lu95] が,Lie 代数の一般化であるLie-Rinehart 代数Lに普遍包絡環U(L)が定義できるため,Lie 双代数 g のHeisenberg double Hg をLie-Rinehart 代数として定義することが自然ではないかと考えた.Lie-Rinehart 代数やHopf algebroidに関する知識が殆どなかったため,これらについて詳しく書いてある論文 [CG15],[Ra22]を読み,これらの概念を吸収した.来年度は具体的な Lie 双代数 g に対して Hg や s を構成することを目標としたい.
[Lu95] Jiang-Hua Lu, “Hopf algebroids and quantum groupoids.” International Journal of Mathematics 07 (1995), pp. 47-70.
[CG15] Sophie Chemla, Fabio Gavarini, “Duality functors for quantum groupoids.” J. Noncommut. Geom. 9 (2015), no. 2, pp. 287–358
[Ra22] Eslami Rad, A. “Lie Bialgebroid of Pseudo-differential Operators.” J Nonlinear Math Phys 29(2022), pp. 869–895.