表題番号:2023C-273 日付:2025/08/25
研究課題準ホップ代数を用いた三次元閉多様体の量子不変量の構成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 太田 洋平
(連携研究者) 東京工業大学 准教授 鈴木 咲衣
研究成果概要

2023年度は Hopf 代数HDrinfel’d double D(H) において定義される様々な概念をHeisenberg double H(H) においても定義することを目標に研究を行った.Lie 双代数 g の普遍包絡環 U(g) の量子変形であるU_h(g) Drinfel’d double D(U_h(g)) g Manin triple Dg の普遍包絡環 U(Dg) の量子変形となっている.D(U_h(g)) の普遍R行列はQuantum Yang-Baxter equation(QYBE)を満たし,これを用いて量子不変量を構成できるが,この普遍R行列Rに対応するものとして,Dg に古典r行列rが定義でき,こちらはClassical Yang-Baxter equation(CYBE)を満たす.Heisenberg double H(U_h(g)) QYBEの類似であるHopf equation(HE)を満たすが,H(U_h(g)) においてDg r に対応するもの(これらをHgsとする)は知られていない.これらの適切な定義を探すため,文献調査を行った.有限次元Hopf 代数 のHeisenberg double は一般にHopf algebroid 構造を持つ [Lu95] が,Lie 代数の一般化であるLie-Rinehart 代数Lに普遍包絡環U(L)が定義できるため,Lie 双代数 g Heisenberg double Hg Lie-Rinehart 代数として定義することが自然ではないかと考えた.Lie-Rinehart 代数やHopf algebroidに関する知識が殆どなかったため,これらについて詳しく書いてある論文 [CG15],[Ra22]を読み,これらの概念を吸収した.来年度は具体的な Lie 双代数 g に対して Hg s を構成することを目標としたい.

[Lu95] Jiang-Hua Lu, “Hopf algebroids and quantum groupoids.” International Journal of Mathematics 07 (1995), pp. 47-70.

[CG15] Sophie Chemla, Fabio Gavarini, “Duality functors for quantum groupoids.” J. Noncommut. Geom. 9 (2015), no. 2, pp. 287–358
[Ra22] Eslami Rad, A. “Lie Bialgebroid of Pseudo-differential Operators.” J Nonlinear Math Phys 29(2022), pp. 869–895.