表題番号:2023C-269 日付:2024/03/29
研究課題神経発生過程における脱SUMO化酵素の局在・機能解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 秋山 和広
(連携研究者) 早稲田大学人間科学部 助教 山田 晴也
(連携研究者) 早稲田大学人間科学部 教授 榊原 伸一
研究成果概要
 昨年度に引き続きSUMO(small ubiquitin-like modifier)化の細胞内機能制御、脳発生過程における生理的機能の解明を明らかにすることを目的として本研究を行った。特に脱SUMO化酵素の一つであるSenp7において、癌細胞等においてそのアイソフォームによる機能的差異が示唆されていることからも(Tasneem et al, 2012:Samaneh, et al, 2017)、脳発生や神経細胞等他の細胞種においてもその機能的差異の解明が必要であると考えられる。
 本研究により、成体マウス脳由来cDNAからSenp7遺伝子をクローニングすることに成功し、複数種のアイソフォームのDNAコンストラクトを作成した。特にヘテロクロマチン結合タンパク質HP1との結合サイトを複数有するアイソフォームをmSenp7L、HP1結合サイトを有するアイソフォームをmSenp7Sとした。また、Senp7LおよびSenp7Sの細胞内局在をGFP融合タンパクを培養細胞に発現させて確認したところ、強制発現系ではいずれも核内局在することを明らかにした。
 一方、内在性mSenp7L/Sを特異的に認識する抗体を作成しその局在を確認したところ、mSenp7は核内局在するのに対し、mSenp7Sは細胞内局在する様子も確認されている。加えて、この様子Flag融合タンパク質として発現した後、免疫沈降法によりHP1タンパク質との直接的な結合を確認したところ、各アイソフォーム間でHP1との結合状態が異なることが示された。さらに、神経細胞の神経突起伸長を観察する実験系により、その機能的な差異が部分的に示唆される等、生理的な活性に関しても解析を現在進めており、今後もその作用機序を引き続き明らかにしたいと考えている。